部屋から眺める中庭がいい感じですね。
はい、この庭、大好きな場所なんですよ。
Sさんが連空間デザイン研究所に家をお願いしたきっかけは、素敵だなと思った友人の家がそうであったことと、社長のお坊さんのような人柄に安心感を感じたとのことだった。
木陰が涼しい中庭を持つ家。カーテンがいらない、いつでも裸足で出ていけるような、四季を感じる生活へのよりどころ。それがS家の家の設計コンセプトである。家を建てるにあたっての奥さまの希望は「家で子どもたちも遊びまわれるように」というものだった。それというのも、Sさん家族はお子さんが4人の6人家族。当時はまだお子さんは2人だったが、そのころから4人は欲しいねとご夫婦で話していたとかで、それを想定しての家づくりだった。だからなのだろう。Sさんの家におじゃまして、まず気がつくところは、そのオープンさ。空間にあまり仕切りがなく、大きな吹き抜けで1階と2階もつながっている感じで、いかにもこの家の中をお子さんたちが元気いっぱいに縦横無尽に走り回っているところが容易に想像できるのだ。
そんな空間のつながりの中でひとつの核となっているのが中庭だろう。Sさんの家は中庭をロの字に囲むように建っている。この中庭と吹き抜けの上部の窓から陽光が家の中にじゅうぶんに差し込んでくるので、外からのプライベートを確保しながらとても明るい家が実現した。カーテンがいらないとはそういうことである。そしてこの中庭には立派なイロハモミジが植えられていて、このイロハモミジが家の中に季節の移ろいや、風や光によって表情を変える多彩で繊細な自然の趣を伝えてくれてくれるのだ。
「キッチンから眺めるこの中庭の景色が好きなんです」と奥さま。「子どもたちにとってもこの庭はいい遊び場になっています。外からは見えないので、ここでバーベキューをしたりと、家族にとって気兼ねなく楽しめる場所にもなっているんですよ」
そんなSさんの家は木がふんだんに使われていて自然素材のぬくもりが感じられる。聞けばなんでも、奥さまが健康的でぬくもりのある自然素材など、素材にこだわって、逆に旦那さまが見た目のかっこよさなどデザイン的なところにこだわってと、二人がこだわるところが対照的だったゆえに、結果的にとても満足できる家ができたとか。そう、夫婦の意見は違ってもいい家は建つのである。今回は築10年目の訪問となったが、お子さんたちが元気いっぱいに遊ぶこの家、また10年後にでもおじゃまして、しあわせがどれだけ宿っているか見に来たいと思えるSさんの家なのであった。
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